ハーツエイコーの歴史を彩ったプロダクト
こまわりさん ヒストリー
1980年代は来るべき高齢社会、超高齢社会を見据え、様々な企業が介護福祉業界に参入し始めた時代だった。当時の福祉機器は、病院や施設での利用を前提に開発されており、大きく重い物ばかりで、在宅での利用は困難であった。その為在宅介護の場面では、ベッドから車椅子、車椅子からトイレなどへの移乗は人手に頼るほかなく、家族や介助者は腰痛などに悩まされ、大きな問題の1つとなっていた。
それらの問題を解決すべく、神奈川総合リハビリテーションセンター(神リハ)や横浜市総合リハビリテーションセンター(横リハ)といくつかの企業がタッグを組み、 さまざまな福祉用具・福祉機器の開発に取り組み始めていた。その中の一つに「誰でも簡単に扱える、軽量でコンパクトな移乗機器」の開発があった。
弊社創業者の荒井は当時勤務していた企業の商品開発部長として、この「誰でも簡単に扱える、軽量でコンパクトな移乗機器」の開発に携わった。神リハや横リハの協力を得ながら、多くのメンバーと共に試行錯誤を重ね、多くの試作機をつくり、多くの時間を費やし、ついに「簡易移乗機こまわりさん」を完成させた。「こまわりさん」は、難しい操作が苦手な方でも扱いやすい様に工夫された足元のロック機構や、非力な方でも利用が出来るようにテコの原理を応用した機構などが評価され、1989年に開催された「第1回福祉機器コンテスト」のグランプリを受賞した。この事はNHKニュースにも取り上げられ、その利便性の高さから移乗で悩む全国の方々から多くのお問い合わせを頂いた。
そののち荒井は「福祉機器を通じて更なる社会貢献をしていきたい」との思いから、「こまわりさん」の製造・販売等の権利を譲り受け、 「株式会社ハーツエイコー」を起業し、介護や移乗に悩む多くの方々のために研究開発に尽力し続け、2015年には5世代目にあたる「こまわりさ ん-J」を発売した。サドルは2種類のサイズを用意し、体格の違いにも幅広く対応出来る商品として、多くの方にご愛用頂いた。
そして、永年「こまわりさん」と共に福祉業界を歩んできた荒井は2018年に勇退し、翌2019年に、「こまわりさんーJ」も移乗機として一定の成果を果し、役目を全うしたとして製造販売を終了した。
約30年に渡り、「こまわりさん」から多くの事を学び、「こまわりさん」と共に弊社は信頼と実績を積み重ねて参りました。これまでに学び得た経験を胸に、 今後もご利用者様に寄り添ったサービスを提供していきます。こまわりさんに感謝を込めて…。
ヒストリー
1989年発売
初代 こまわりさん
日本リハ工学協会主催 福祉機器コンテスト 第1回グランプリ受賞
[定 価]120,000円
[特 徴]ご家庭でも使用できるコンパクトな移乗機として、
NHKで紹介され話題となった。
[別 売]からだ固定ベルト(3,000円)、
膝ベルト(2,000円)、薄型シート(36,000円)
1990年代
2代目 こまわりさん
[定 価]78,000円
[特 徴]より安楽に使用して頂けるように、
シート形状の見直しなど様々な改良を加えた。(台湾製)
[別 売]からだ固定ベルト(3,000円)
2002年発売
3代目 こまわり3(さん)
[定 価]139,000円
[特 徴]福祉介護業界に参入し新たな機器開発を目指していた国内システム
機器メーカーに製造・販売を依頼し誕生した、こまわり3。
依頼先による開発・製造でシート形状が大きく変わった。
2009年発売
4代目 こまわりさん
[定 価]120,000円
[特 徴]自社にて企画開発を行い、
海外生産によりコストダウンを図った。(中国製)
2014年発売
5代目 こまわりさん-J
約25年に渡り多くの方にご利用された、こまわりさんの”完成版”。
[定 価]155,000円
[特 徴]国内生産に戻して品質向上を図った。
シートが通常サイズのAタイプ、小柄な方向けにシートが
一回り小さいBタイプを発売した後、2019年販売終了。